英単語の暗記に役立つ記憶術
記憶のメカニズムを利用した暗記方法
記憶のメカニズムを理解すると、物事を覚えることが楽になります。
よく「記憶術」と呼ばれるものは、脳が覚えやすいメカニズムを利用したものなのです。
このページでは、そのメカニズムを利用した記憶術のいくつかをご紹介します。
1、複数の暗記方法を組み合わせる
前ページで紹介した「長期記憶」は、さらにいくつかの記憶に分類できるのですが、
ここでは特に「単語を覚える」ことに影響する記憶を挙げてみましょう。
- 意味記憶
言葉の意味についての記憶。 - エピソード記憶
体験や出来事についての記憶。 - プライミング
先に現れた事柄(単語、絵、音など)が後に現れる事柄に影響を与えること。
例えば、「注射」という言葉を聞いて痛みを想像したりすることをプライミング効果という。
単語を覚えるということは、上表にある「意味記憶」をするということです。しかし「意味記憶」だけでは思い出せる記憶としての保存は難しいでしょう。
ですが、意味記憶にエピソード記憶やプライミングが組み合わさると記憶の定着率は飛躍的に上がります。
例えば、かつて大ヒットした映画「ターミネーター」や「ターミネーター2」を見た方は、シュワちゃんの有名な台詞である「I’ll be back.」や「Hasta la vista, baby.」という言葉を今でも強烈に覚えているという人もいるでしょう。これは、まさにエピソード記憶(ストーリーの中で覚える)もしくはプライミング(映画やマンガに出てくる感動体験など)が影響しているから覚えているのです。
「音楽を聞くと歌詞を思い出す」「映画のタイトルを聞くと台詞が思い浮かぶ」というのは、まさに複数の記憶が組み合わさっているからこそ思い出せるのです。
2、覚えた内容を組み合わせる
覚えた内容、もしくは、すでに覚えている内容に記憶を結び付けると思い出す力が増します。
例えば、「立法」「司法」「行政」という3つの言葉を記憶したとします。
この中で「司法」という言葉を思い出せなくなったとしましょう。
しかし、そこに「三権分立」「裁判」など、関連する言葉をセットで覚えていると、それらの言葉をトリガーとして記憶を引き出し、思い出しやすくなるのです。
3、繰り返しが記憶の定着率を上げる
記憶を定着させ、「思い出すことができる記憶」にする最も有効な手段が「繰り返し」です。
では、やはり「紙に書きまくる」のが有効か?と言えば、それは違います。
紙に書きまくるという行為は「体に覚えさせる」ということと同じで、長期記憶の分類では「手続き記憶」と呼ばれるものです。 スポーツなどの分野では条件反射を鍛えるため、この「手続き記憶」は非常に有効ですが、言語を覚えるには、あまり有効性がありません。
ここで言う「繰り返し」とは下図に示す「忘却曲線」を利用した記憶の繰り返しのことを言います。
「忘却曲線」とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによって提唱された記憶に関する研究内容で、ある程度の間を置いて、再び覚えると記憶の定着率が上がるというものです。
例えば、英単語を100個覚えたとして、そのまま何もしなければ1年後には90個以上は忘れてしまいます(正確には思い出せない)。 しかし、100個覚えて、ある程度の間を置き再び記憶するという行為を繰り返せば、記憶の定着率が上がるのです。しかも、2回目以降は覚えるための労力も少なくて済みます。
そしてこの忘却曲線は繰り返すほど平行に近い形となり、4~5回繰り返すことで忘却曲線は、ほぼ平行になると言われています。
このように、単語を記憶するためには「繰り返し」が非常に有効な手段となるのです。
記憶のメカニズムを英単語の記憶に活用しよう
ここまでの説明で、英単語を記憶するために有効な記憶のメカニズムは理解できたでしょうか?
では、こういったメカニズムを実際に英単語を覚える際に、どのように活用するのか?
それを次のページで紹介しましょう。